はじめに
直感:経験に基づき、無意識のうちに最善の選択肢を選び取るものであり、人の発想を左右するもの
信念:経験に基づき、無意識のうちに最善の選択肢を選び取るものであり、人の行為を左右するもの
インドの田舎にいる人々は僕らのように知力で生きているのではなく、直感で生きている。そして彼らの直感は、ダントツで世界一というほどに発達している。直感はとってもパワフルなんだ。僕は、地力よりもパワフルだと思う。この認識は、僕の仕事に大きな影響を与えてきた。セイヨウノ合理的思考は人間が生まれながらに持っているものじゃない。習得するものであり、西洋文明の大きな成果である。インドの村では合理的思考を学ばないんだ。彼らは別のものを学ぶ。合理的思考と、ある意味、同じくらい重要な面を持ち、それほどでもない面を持つものだ。それが直感の力、体験に基づく智慧の力だ。インドの田舎で7ヶ月過ごしたおかげで、僕は、西洋世界と合理的思考の親和性も、そして西洋世界のおかしなところも見えるようになった。じっと座って観察すると、自分の心に落ち着きがないことがよくわかる。静めようとするともっと落ち着かなくなるんだけど、じっくり時間をかければ落ち着かせ、捉えにくいものの声が聞けるようになる。この時、直感が花開く。物事がクリアに見え、現状が把握できるんだ。ゆっくりした心で、今この瞬間が隅々まで知覚できるようになる。今まで見えなかったものがたくさん見えるようになる。これが修養であり、そのためには修行が必要だ。
- 仮設設定能力は個人のセンスというよりは経験の産物でもあり、多くの案件を経験することで、次第に向上してくる。
- いざという時に一瞬で行う決断を外さないようになる
- 瞬時に意思決定する能力は、特にこれから不確実性が増していく世界を生きていく私たちにとって、ますます重要性を高めていくであろう
1.その判断は、間違った思い込みかも?
- ラッセルは仮説の形成は科学における最も難しい仕事で、非常に高い能力を要求するものであると説いた。
- 直感や信念のような仮説設定は、経験に基づく推論だ。仮説は自身が経験した世界に関する知識や情報を出発点としているので、それ抜きにして直感と信念の精度は上がらない。
人間の直感のような自動判定装置が正しい反射をしてくれるか否かは、本人が過去にどれだけ良い経験をしてきているかに依存しているという
脳科学者の池谷裕二
- 人生における素晴らしい経験は、その人にとってかけがえのない財産となり、適切な反射力として身を結ぶ。センスや直感なども全て経験の賜物だ。
- 現実や経験が新しい価値を生むアイデアの源泉という考えは、科学の進歩においても主張されてきたことだ。
- 経験の有用性が質・量・領域の掛け算であると考えることによって、この矛盾は解消するかもしれない。
2.直感が課題解決をするメカニズム
- 課題に取り組もうと思う意欲の強い人は、人生においてギャップを何らかの形で経験していることが多い。
- 物事の探究において1番初めに来るものは、「何かを学ぼうとする意志」であり、その本質的な源泉は、自分の現在の信念状態(要は現状)の状態に対する不満にある
「はじめに行為あり」
ゲーテ「ファウスト」
- 行為とそれに伴う体験があってこそ思い(暗黙知)が生まれ、それはのちに言葉(形式知)となる。思想はその人に課題を選ぶとらせ、行為のきっかけを与える。
- 直感は本人にも理由がわからない確信を指す。思い至ったものの、その理由を「ただ何となく」というしかなく、根拠は明確ではないもののその答えの正しさが漠然と確信でき、かつその精度も高いものが直感だとされる。
- 信仰によって人間の意志を絶えず鍛錬してこそ、事業は初めて成功するものであり、不可欠なものは信念である。
「現実の人生は、あらゆる偉業は信念に始まり、信念によって第一歩を踏み出す」
シュレーゲル
- アイデアはそれが何らかの結果に結実するまでには、無数の経路を持っている。信念はこの無数の経路の多くを排除し、あるべき方向性のみに意識を注ぐように促してくれる。
「善いこととは経験によって打ち立てられた理性に従うことである。それは花が、花の本性を発揮した時に最も美しいのと同じように、人は自分の本性である理性を発揮した時にこそ最も美しいのだ」
京都学派 西田幾多郎
- 無意識が処理している情報の量は意識されているものよりもはるかに多い。私たちの直感やひらめきは、この無意識の情報処理の産物なのだと考えられている。
- 信念は知識や意志によって支えれてるものではなく、逆に信念が知識や意志を支えている
- 私たちは様々な選択肢に直面する時「何となくこちが正しそう」という直感を得る。すなわち、それぞれの選択肢の結果を分析した結果としてそう考えるのではなく、誤った選択肢を何らかの不快や胸騒ぎや危険信号を経験し、それを排除している。この胸騒ぎの感情こそがソマティック・マーカーだ
「一番大切なことは単に生きることそのことでなはなくて、善く生きることである。また善く生きることと美しく生きることと正しく生きることとは同じだ」
ソクラテス
- 知行一致の人が周囲の人々を熱狂させ、世界を変えることは、その人々がうちに持っている強い物語があるのかもしれない。
3.直感力を高める習慣
- アイデアがやってくる段階においては、人は無心になっていければならない。無心になるほどに事業に取り組み、肩の力が抜けた状態になってこそ、善い直感・信念が得られる。
- 1つ参考となるのは、「自意識からの離脱を目的として身体知」が結集する東洋宗教における修行だろう。
- 人間は、肉体をとことんまで苦しい状況に追い込むと、自意識を背負う元気すら出なくなるからだ。
- 感動しやすい状態とは、何事からも学ぼうとしてない状態なのだと僕は思う。
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